大工村

住まいるマネー塾のマネー講座
12月のフラット35の金利は前月より上昇

フラット35金利2512.jpg◆代表的な長期固定の住宅ローン商品「フラット35」の2025年12月融資金利は、前月より0.07ポイント上昇の1.97%(返済期間21年以上のタイプ)となりました。
20年以下のタイプも前月より0.07ポイント上昇の1.58%

この金利水準は2014年8月の1.69%以来の高水準です。(12月の金利を2017年10月の団信分0.28%適用前に換算すると1.69%)

※フラット35に付随する団体信用生命保険(以下団信)の保障内容は、
一般金融機関の団信保障内容が「死亡・高度障害」時に支払いですが、フラット35は「死亡・身体障害(身障者手帳2級以上)」時に支払いとなっているため、一般金融機関の団信よりも保障範囲が拡大されています。

※健康状態が厳しいため団信に加入できない場合、基準金利より0.2%低い金利で融資を受けられます。

◆長期金利の代表である「新発10年物国債利回り」は、2013年より日銀が「次元の異なる金融緩和」により低く誘導してきましたが、「賃金と物価の好循環を確認し、今後も2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していく」と判断したため、2024年3月に「マイナス金利の解除と長期金利の誘導政策を撤廃」しました。

撤廃により2024年4月以降の日本の長期金利は徐々に上昇、5月下旬には12年半ぶりに1%を突破
更に7月末に日銀は政策金利の利上げ+0.25%と長期国債の買い入れ減額を発表。2025年1月には追加利上げ+0.25%を実施し、長期金利も上昇しました。
更に2月は消費者物価の上昇により、日銀が政策金利の利上げを続けるのではないか、との思惑から1.3%台に上昇し、続けて3月末には1.4%台へ。更に5月末は2008年7月以来の1.5%まで上昇したものの、6月はアメリカのFRBの利下げ期待から長期金利も低下し1.4%台へ。
7月は参議院選挙で与党が過半数割れとなり、野党の政策が実現されることで国債増発の思惑から金利上昇し1.5%台、8月は更に物価上昇が継続し日銀利上げ予想が高まったことで1.6%台へ。9月は日銀の利上げ容認の思惑から1.64%へ。
10月は積極財政を表明する高市総裁が誕生したことで1.6%台後半を推移。11月は高市首相の大型補正予算により国債増発が予想され、中旬から1.7%台へ上昇し、下旬には2008年6月以来の1.8%台へ。

フラット35の金利は、この長期国債の金利が反映されています。

※尚、2023年以降フラット35金利と国債の金利との連動性が低くなりました。
長期金利が上昇を続けていても、フラット35の金利が2%を超えないように利ザヤを抑制しているように見受けられます。


◆下のグラフは日本とアメリカの長期金利の推移を示しています。

日米長期金利推移2511.jpg日本の長期金利はアメリカの金利に沿って動くことがあります。
◆アメリカの2024年1月以降の長期金利の動き
2024年は1月~3月はFRBの政策金利の動きの様子見から4.0~4.3%の動き。4月中旬発表の消費者物価の上昇が止まらないことが分かり、FRBの利下げが遠のいたとの観測から金利は上昇し4.6%台へ。5月~8月は物価の上昇が抑制されていることから長期金利は低下傾向。9月も同様で3.7%前後を推移。
しかし10月に入り景気が堅調な経済指標がいくつか発表され上昇傾向。11月は大統領選でトランプさんが当選し、財政出動を伴う新政策発言から国債発行増加が予想され4.4%台へ上昇したものの、下旬に財政規律が予想されるスタッフ登用発表により4.1%へ低下。
12月は今後の政策金利の利下げ回数が減るとの予想から長期金利は上昇し、2024年末は4.5%台で終了。

2025年1月は雇用状況が好調のこともあり一時4.8%まで上昇。しかし2月は景気悪化を予想させる経済指標が出たため長期金利は低下し4.2%台へ。3月は方向感がない動きで4.2%台。
4月はトランプ大統領の想定以上の関税政策により景気悪化懸念から4.1%台へ低下したものの、5月にイギリスとの関税交渉妥結、中国への追加関税の引き下げにより景気悪化懸念が和らぎ一時4.6%台へ上昇。
しかし、6月以降はFRBの利下げ期待から長期金利も低下し4.2%台へ。9月以降は利下げにより4.0%台へ。

◆下のグラフは、2013年以降の、「フラット35」における21年以上返済の場合の、最低金利の月別推移です。

フラット35月別金利2512.jpg2024年7月末に日銀が「今後の国債の買い入れ減額」を発表したものの、金利上昇に大きな影響が出ないような減額幅で、アメリカの金利は比較的落ち着いているため、国債金利は1.0%を大きく超えて上昇することはありませんでした。
しかし、2025年に入り物価上昇が続き、日銀の政策金利の利上げ予想、高市政権の国債増発により長期金利が上昇し、住宅ローンの固定金利についても上昇しています。

第2次安倍政権が発足した以降、フラット35の金利の1年間の最高金利と最低金利の利幅は、2016年~22年は僅かに0.25%、2023年~25年は0.16%と低くなっています。

◆2025年は夫婦のいずれかが40歳未満か18歳未満の子供がいて、ZEHまたは長期優良住宅の基準を満たした住宅であれば、フラット35の金利が当初5年間「1.0%優遇」、次の5年間は「0.25%優遇」されます。

この条件がそろえば、12月の1.97%の金利は当初5年間を0.97%、次の5年間を1.72%で借りられます!

返済期間が20年以下ならば、1.58%が当初5年間を0.58%、次の5年間を1.33%

今後の金利上昇リスクを避けるため、フラット35の金利優遇タイプであれば、低金利で最長10年間は段階固定されるし、その後の金利も決まっていますので、上昇するかもしれない一部期間の固定金利や変動金利に比べれば安心が得られます。

3,000万円を35年間借りた場合、当初5年間1.0%、次の5年間0.25%優遇の効果は約190万円!。
家計が助かりますね。

贈与税の非課税枠があり、住宅ローン減税もありますので、今は金利も低く本当に住宅取得には良い環境です。

文責 ふくろいFP-SERVICE

8月の住宅価格(中部地方)は9カ月連続で前年比上昇

中部-住宅価格2508.jpg

◆中部地方の戸建て住宅価格指数

国土交通省にて収集している不動産取引データの戸建て住宅価格のうち、長野県、静岡県、岐阜県、愛知県、三重県の価格動向を加重平均し指数化の上、毎月1回公表。
国交省公表のデータを独自に6ヶ月移動平均値に換算しています。

この指数は実際の取引価格を登記簿情報、アンケート調査、必要に応じて実地調査を行い、都道府県の不動産価格を指数化しています。

★2025年11月28日に国土交通省が発表した2025年8月の中部地方の戸建て「住宅価格指数」(6か月移動平均)は9カ月連続で前年比上昇
         指数  前月比  前年比
単月指数    106.8 -0.0%  +1.2%
6か月移動平均 106.2 -0.8%  +2.1%

◆住宅購入で気になるのは、住宅ローン金利とともに「建築費」。

中部地方の住宅価格指数の6ヶ月移動平均でみると、コロナショックで落ち込んだ戸建て価格は2021年以降はウッドショック、2022年からはロシアのウクライナ侵攻、円安進展等により急騰してきました。

しかし、住宅価格の上昇等で持ち家の住宅着工数は減少傾向、また分譲住宅の一戸建ても前年比減少が継続しているため、木材需要が減少し、木材価格も下がってきました。
2024年秋以降は再上昇したものの、2025年4月以降は着工数が伸び悩み、木材価格が下がっていますが、建築費への反映は遅れています。

◆政府は住宅購入の落ち込みや建築費高騰の対策として、様々な施策が実施されています。(住宅ローン減税、住宅資金の贈与税の非課税枠など)
一方で、住宅購入を検討されている方にとっては、建築費の動向も確認しながら、そのタイミングを図る必要があります。

文責 ふくろいFP-SERVICE

10月の住宅着工数は7カ月ぶりに前年比増加

全国住宅着工数-年2510.jpg全国住宅着工数-年2024.jpg国土交通省が2025年11月28日に発表した、2025年10月の全国新設住宅の着工数は71.9千戸となり、前年同月比+3.2%、前月比+13.0%と、前年同月比では7か月ぶりに増加となりました。

2024年年間では前年よりも-3.4%(持ち家-2.8%)となりました。
リーマンショック前のピーク2006年からみると-39%(持ち家-39%)と深刻な状況で、コロナ前の2019年からは-12%(持ち家-24%)と復活していません。

◆10月の着工数の内訳を見てみると、
賃貸、分譲他は前年比増加に転じましたが、持ち家は減少継続。
※前月比では増加しているものの、前年比減少の要因として4月から新築住宅への省エネ基準適用義務化により、3月駆け込み着工増の反動が続き、住宅価格、金利上昇により買い控えが出ていると見られます。

「持ち家」は7か月連続の前年比減少となり、-8.2%。

「賃貸」も7か月ぶりに前年比増加となり、+4.2%。

「分譲住宅」も7カ月ぶりに前年比増加となり、+14.8%。
分譲住宅のうち、マンションは7か月ぶりに増加(+31.8%)となり、一戸建ても7か月ぶりに増加(+0.5%)となりました。

静岡住宅着工2510.jpg静岡県住宅着工数-年2024.jpg★さて、静岡県の着工数は、
着工戸数が  1766戸  前年比-13.7%(2か月ぶりに前年比減少)
「持ち家」が 736   前年比- 1.5%(7か月連続の前年比減少)

2024年年間では前年よりも-2.9%(持ち家-2.9%)となりました。
リーマンショック前のピーク2006年からみると-51%(持ち家-49%)となり18年間で半減と深刻な状況で、コロナ前の2019年からは-15%(持ち家-27%)と復活していません。

◆住宅産業は、自動車と並んで"裾野"が広い産業です。
住宅産業が拡大すれば、日本経済も明るくなっていくと思います。

住宅を購入するときに気になるのは住宅購入価格と住宅ローン金利。
住宅価格については新型コロナ以降の物価高とウッドショックにより大幅に高くなり、

住宅ローン金利については、
その動きの基となるのは固定金利の場合は、国債の10年ものの長期金利ですが、こちらも上昇。
2022年12月末0.41%⇒2025年10月末1.65%。
これを受けて35年固定の住宅ローン金利フラット35は
2023年1月1.68%⇒2025年11月1.90%と上昇。

★2024年3月の金融政策決定会合で、10年もの国債金利の上限目途1.0%を撤廃しました。また政策金利については、マイナス金利政策の解除をしました。
また7月31日には政策金利を+0.25%とし、また国債の買い入れ額の減額を決定しました。更に2025年1月に+0.25%の利上げをし、政策金利は0.5%となりました。
これにより住宅ローンの変動金利、固定金利ともに上昇しています。

【政府の住宅建築の特典】

◆住宅ローン減税
所得税・住民税の控除は建物の環境性能等で異なり、以下の通りです。
                  省エネ  ZEH  長期優良
2026年/12月迄入居は13年間合計 最大273万円、319万円、410万円

※夫婦のいずれかが40歳未満、または18歳未満の子供を持つ家庭ならば、2026年12月末まで入居で更に減税枠が拡大されます。

住宅建築に関わる贈与税の非課税枠拡大
基本・・・110万円までの贈与は無税
2026年/12月契約まで500万円、省エネ等の優良住宅は1000万円
※住宅新築・増改築の為に、両親、祖父母から贈与され、翌年の3/15までに上棟した場合。

◆フラット35の金利優遇
長期優良住宅かつZEHで、更に夫婦のいずれかが40歳未満で18歳未満の子供を持つ家庭に対し、最大1.0%を5年間優遇、その後5年間は0.25%優遇。     
参考:2025/11月 21年以上の金利1.90%→0.90%(1年目~5年目)→1.65(6年目~10年目)→1.90%(11年目~) 
3000万円を35年借りると10年間の優遇で190万円程度利息が軽減されます。

文責 ふくろいFP-SERVICE

地震保険は加入していますか?

2016地震保険付帯率.jpg

6月18日、大阪北部を中心とした大きな地震が発生しました。
被害に遭われた皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

さて、大地震が起きるたびに話題となる「地震保険」。

グラフは、1年間に契約された火災保険に付帯されている地震保険の割合を示しています。

ご覧の通り"大地震が起きると付帯率は上昇"しています。

阪神・淡路大震災以降に、地震保険の重要性が見直されて、付帯率は上がってきましたが、2016年現在では全国平均で62%。4割は未加入。

40年もの間「いつ起きてもおかしくない東海地震」と言われ続けている静岡県でも、付帯率は64%。

 

皆さんは地震保険に加入していますか?

 

◆大地震での住居被害

 ・阪神・淡路大震災・・・65.4万棟(損壊+火災)

 ・東日本大震災・・・114.1万棟(損壊+火災+浸水)

 ・熊本地震・・・20.6万棟(損壊+火災+浸水)

    ・大阪府北部地震・・・3.3万棟(2018/7/17現在)

 ・東海地震、南海トラフ地震では・・・???

◆地震保険 "あるある" 勘違い

1.地震保険は単独で加入できる。

  ・地震保険は火災保険に付帯して加入。単独加入はできません。

  ・現在加入している火災保険に付帯。原則いつでも加入できます。

   (尚、警戒宣言が発令されると、一部地域は加入が制限されます)

2.地震で火事が起きても、火災保険があれば大丈夫。

  ・地震での火事による被害は火災保険は補償対象外。

  ・地震による火事は地震保険で補償

◆地震保険の特徴

・地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の半分まで。

 ⇒建物再建のための保険ではなく、「生活再建」のための保険

  (限度:建物5000万円/家財1000万円)

 

・火災保険と同様に、建物だけでなく、家財にも付けられる。

   ⇒建物は何ともなくても、家財は地震で吹っ飛び、壊れることも。

 

・保険料は、「耐火構造」と「非耐火構造」、「地域」によって異なる。

 ⇒燃えやすい木造住宅※で、静岡県の住宅は保険料が高い。

  年間保険料は、1000万円当たり36,300円 (2017年1月より)

  ※木造でも"省令準耐火構造"は「耐火」として扱われる。

 

建築年、耐震等級により、保険料の割引がある。

 ⇒耐震等級3級は5割引き。昭和56年6月以降の建築は1割引き。

 

・半官半民の保険のため、保険会社による保険料の違いはない

 

・地震保険は地震による損壊、火災だけでなく、津波、噴火による損害も対象。

 

住居専用の住宅(一部店舗も含む)が補償の対象。店舗専用の建物は対象外。

 

・建物は「基礎、柱、屋根、壁等の主要構造部」の損壊が対象のため、門・塀・給水設備などの損壊は対象外。 

 

◆地震保険に加入した方が良い方

住宅ローンが残っている

 ⇒建物が地震で倒壊しても、ローンは残ります。

  地震保険が無いと再建のために再度ローンを組むことになり、二重ローンが重くのしかかります。

尚、2016年4月よりローンの減免制度ができました。条件が合えば助かります。

ローン減免制度.jpg

・住宅再建のための貯蓄が十分無い。

 

自宅兼店舗で自営をしている。

 ⇒住居と一緒に収入の源である店も失い、収入源まで断たれる。

 

★地震に強い家は多くなってきました。

 しかし、地震での火事は・・・消化は間に合わないかもしれません。

 多くのところで火事が起きたら・・・消防車もフル活動

    

今買いますか、それとも貯めてから?

「マイホーム」欲しいですよね!

私が住む袋井市内ではいくつかの所で区画整理が行われていて、次々と新しい家が出来ています。

さて、家を買うとなると多くの方は住宅ローンを組みます。

仮に、3000万円を30年、利率3%で元利金等返済で借りると、月々12.6万円の返済(ボーナス払い無し)、支払利息は1550万円となり、支払い総額(元利合計)は4550万になります。

一方で、ローンを組まずに一生懸命貯めてから買う場合は、こんな感じになります。

月々12.6万円を、3%の「複利」の金利で30年間貯めると、元本は4536万円で、元利合計は7342万円になります。

しかし、一生懸命貯めても、インフレが起きると、貯めたお金の価値は目減りします

実際の日本の物価上昇率は、1970年からの30年間では年平均4%程度で3.2倍に上昇していますが、76年からの30年間では年平均2%程度で1.8倍の上昇となっています。

今後30年間でインフレによって物価が2.4倍になると、今なら3000万円で買える家が、30年後には7200万円になります。

と言うことは、3%の金利は、現在の価値と将来の価値を同等のものにしているわけで、「今ローンで買っても、貯めてから買っても価値は変わらない」ということになります。


しかし異なるものがあります。

それは、経済学で言う「効用」つまり「満足度」です。


今住みたいわけですから、今買って住めば、満足度は30年後の比ではないでしょうし、家族構成を考えても、今買うことになるのでしょうね。