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フラット35金利の記事

3月のフラット35の住宅ローン金利は5か月連続で上昇

フラット35金利2303.jpg◆代表的な長期固定の住宅ローン商品「フラット35」の2023年3月融資金利は、前月より0.08ポイント上昇、1.96%(返済期間21年以上のタイプ)となりました。
20年以下のタイプも前月より0.08ポイント上昇、1.80%

2023年3月の金利は2014年8月の金利1.97%(団信適用分0.28%加算)以来の高水準となりました。

※フラット35に付随する団体信用生命保険(以下団信)の保障内容は、
一般金融機関の団信保障内容が「死亡・高度障害」時に支払いですが、フラット35は「死亡・身体障害(身障者手帳2級以上)」時に支払いとなっているため、一般金融機関の団信よりも保障範囲が拡大されています。

※健康状態が厳しいため団信に加入できない場合、基準金利より0.2%低い金利で融資を受けられます。

◆長期金利の代表である「新発10年物国債利回り」は、日銀が「次元の異なる金融緩和」により低く誘導。

日銀は物価2%上昇を目指していますが、思うように物価は上がらず、
2016年2月には史上初の「マイナス金利」を導入したため、長期金利の低下を招きました。

2021年はアメリカの長期金利が1%台を回復するのに合わせ、日本の金利も上昇し、2月末は0.15%。2年4か月ぶりの水準となり、以降は0%近辺の静かな動きとなりました。

2022年に入りアメリカの利上げ拡大予想から長期金利も上昇、これに合わせ日本も急上昇。3月にはアメリカのFRBが政策金利の利上げを実施したため長期金利も一層上昇し、4月、5月も引き続き上昇。
9月中旬~11月は0.25%近辺を継続。
しかし、12月20日に日銀は長期金利の誘導目標値を突然の"実質の利上げ"。それまでの0.25%を0.5%に上げました
物価高、日米金利差拡大による円安進展、そして海外投資家の国債売りが続き、これらに抗しきれずに利上げに踏み切ったようです。

フラット35の金利は、この長期国債の金利が反映されています。

◆下のグラフはアメリカと日本の長期金利の推移を示しています。

日米長期金利推移2302.jpg日本の金利はアメリカの金利に沿って動くことがあります。

2021年のアメリカ長期金利は2月にはコロナ前の1.5%台まで上昇、更に9月下旬のFRBの会議で2021年中の金融緩和縮小が報告され、長期金利は上昇し10月は1.6%台へ。

2022年に入り物価の高騰が収まらないため利上げ予想が強まり長期金利が急上昇し1.8%へ。3月17日にはFRBは利上げを決定し、長期金利もぐっと上昇。
4月以降は物価上昇と利上げ幅の状況により、3%前後を推移。しかし9月下旬から4%に迫り、10月下旬には4.2%に達しました。
しかし、11月中旬に物価上昇率が鈍化したことで、今後のFRBの利上げ幅が縮小されるとの期待から、長期金利は低下し以降3.5%前後を推移。しかし2023年2月発表の物価上昇率が予想よりも高かったため、長期金利は3.9%まで再度上昇。

日本の政策金利はマイナス金利導入以降、日銀が強力に長期金利をコントロールされているため、アメリカと日本の長期金利の動きは単純な連動ではなくなっています。

◆下のグラフは、2013年以降の、「フラット35」における21年以上返済の場合の、最低金利の月別推移です。

フラット35月別金利2303.jpg2012年以前は高くても3%程度でしたが、日銀の金融緩和の継続条件「物価が安定的に2%になるまで継続」を考慮すると、国債金利も0.5%を上限に大きく上昇することもなさそうで、4月からの日銀新総裁の考え方で変わってきます。
※2023年2月24日、新総裁候補は当面は現在の金融緩和は継続するものの、その弊害については承知し、物価上昇の目標到達となれば政策変更と所信表明。

日銀は長期国債金利が上限0.25%に近づくと"連続指値オペ"を実施し、これを超えないようコントロールしてきましたので、住宅ローンの固定金利についても上限付近に到達していました。
しかし、上限目標を0.5%まで上げたため、今後はこれを超えなければローンの固定金利も抑制されそうです。

第2次安倍政権が発足した以降2013年から2015年迄は2%を超えた月が僅かで、また1年間の最高金利と最低金利の利幅は、0.24%程度。
2016年以降の利幅は僅かに0.22%と低くなっています

※金融緩和が終了すれば、国債金利は1.0%程度が妥当との試算もありますので、現状よりも0.5%程度上昇・・・フラット35の金利も2.5%程度まで上昇する可能性があります。

◆今年は、ZEHまたは長期優良住宅の基準を満たした住宅であれば、フラット35の金利が当初5年間「0.5%優遇」、次の5年間は「0.25%優遇」され、
更にZEH+長期優良住宅であれば、当初10年間「0.5%優遇」されます。

ZEH+長期優良住宅であれば、1.96%の金利は当初10年間を1.46%で借りられます!

返済期間が20年以下ならば、1.30%が10年間固定!

今後の金利上昇リスクを避けるため、フラット35の金利優遇タイプであれば、低金利で最長10年間固定されるし、その後の金利も決まっていますので、上昇するかもしれない一部期間の固定金利や変動金利に比べれば安心が得られます。

3000万円を35年間借りた場合、当初10年間0.5%優遇の効果は約150万円!。
家計が助かりますね。

新型コロナ対策として、贈与税の非課税枠があり、住宅ローン減税もありますので、今は金利も低く本当に住宅取得には良い環境です。

始まります!住宅ローン金利の優遇
2009年度第2次補正予算の成立を受けて、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35S」の金利が、一定期間下がります。

開始は2月15日融資分から。 12月30日申し込み分まで。

フラット35S」は最長35年間固定金利で借りられます。

このローン商品で、当初10年間は、なんと「1.0%」金利を優遇する措置です。

対象となるのは、フラット35の融資適合住宅で、かつ省エネ、バリアフリー、耐震等について一定の基準を満たした住宅で、新規融資の場合。

次のいずれか1つの基準を満たす住宅が適用となります。
具体的にはこちら

【10年間優遇の場合 ;20年間優遇の場合は下記よりも条件が厳しい】

◆省エネルギー性  
   省エネルギー対策等級4の住宅

◆耐震性
   耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2または3の住宅
   免震建築物

◆バリアフリー性
   高齢者等配慮対策等級3、4または5の住宅

◆耐久性・可変性
  劣化対策等級3、かつ、維持管理対策等級2または3の住宅

この制度は、現在は「基準によって、10年間 または 20年間は0.3%優遇」となっていますので、金利の優遇幅は大幅に拡大されます。

この1%の金利優遇により、支払利息がどの程度減るのか試算しました。

今月の融資金利で、21年以上借り入れの場合、最低の金融機関は2.6%ですので、これを参考にします。

◆2000万円(月払いのみ)を35年間元利金等返済で借りた場合・・・

  ○ 2.6%で35年間借りると 
     総返済3048万円 月々7.3万円の支払い。

  ○ 当初10年間1.6%、11年目以降2.6%とすると、 
     当初10年間は 総返済額747万円 月々6.2万円の支払い
     11年目以降   総返済額2093万円 月々7.0万円の支払い

 返済総額は2840万円ですので、208万円の利息が軽減できます。
 また、月々の支払いも減り、教育資金などの積立にも回せます。

省エネ住宅ならばこの金利優遇が使えた上に、「住宅版エコポイント」も付与されます。

現在の金利水準は、過去の金利水準と比べても、かなり低い水準にありますので、
今年住宅を購入する人には朗報です。
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