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今できる水害への備え。準備へのアドバイス〜中谷岳史助教授インタビュー②

前回は中谷先生(信州大学助教授)へ、水害復旧に携わるようになったご自身の被災体験談や、研究開発されていた住宅の工程管理のノウハウが活かされることにつながったというお話を伺いました。

 

今回は、復旧支援を通じて分かったことから、今できる水害への備えとして、具体的にどんな準備をすれば良いか、アドバイスをいたただきました。

 

〜〜〜

Q.もともと研究なさっていた住宅の工程管理の「水害復旧版」は、実際にどのように現場で受け入れられたのでしょうか?

A.私が被災した経験の話です。水害に遭って2週間ぐらいは妻も普通に過ごしていましたが、3週間目ぐらいから疲れも出て来て苦しい様子でした。そうした時、工程管理に基づいた話から「この先どうなるのか」ということが具体的にイメージできるようになったことで、みんなと同じように良くなっていく、という安心感へとつながったようです。

 

Q.気持ちが沈んでいるところへ、復旧の目処や兆しが見えるような役目をはしてくれた工程管理だったんですね!工程管理について、他にはどんな重要ポイントがありますか?

A. 予算計画の大切さです。まず、建物を建築的な診断をすることで、やみくもに壊してフルリフォームするのではなく、部分的な改修で済ますといった応急処置のメニューの幅が出てきます。これはお金につながることですね。また、行政の給付金や保険金が振り込まれるタイミングといったことも、予算計画で把握しておきたい内容です。

 

実際の復旧作業には人手と資材が必要になります。いずれもお金に関わることですので、予算計画が大切になるわけです。予算計画と工程管理の両方が整えば、多数のプロジェクトを進行させることができ、少しでも早く日常を取り戻せる方が増えることになります。

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Q.では、続いて今できる水害への備えとして心がけておきたいことや具体的な準備へのアドバイスをお聞かせください。

A.災害後の支援要求は、どんな場合でも住民の方が自ら手続きすることが基本です。災害ボランティアの要請や、行政や保険会社や工務店へ働きかけることを行ってください。

 

次に、水害復旧に役立つモノをご紹介します。

◯ダクトファン→室内に侵入した土砂は乾かしてから復旧作業することをお勧めしています。(室内の空気汚染になるカビの発生を防ぐため)床下や他を乾燥させるために利用するものです。ダクトの径は200mmがおすすめです。

(参考商品/https://amzn.asia/d/fWH2Lmv

◯洗濯用洗剤・アタックゼロ(推奨)→液体とワンハンドタイプの両方です。室内清掃で使います。水拭きでは手間が掛かり、さらに汚れが落ちにくいです。(経験上4回くらい掛かる想定)そのため、洗剤による洗浄が必須です。大容量のモノを数個ご用意ください。

室内の乾燥は、拭き掃除を行った後、ダクトファンを使うようにしてください。(空気汚染を抑えるためです)

◯ドライワイパー→長めのモノが良いです。床に溜まった汚れを全部押し出す時に使います。

◯デッキブラシ→樹脂のブラシ、1本あると便利です。

◯ジクロロイソシアヌル酸塩→プールや温泉の浄化として使われる消毒薬です。洗剤で拭き取った後の消毒として使います。

◯風呂水ポンプ→お風呂の浴槽で洗濯洗剤水や消毒液を大量に作り、排水時に使います。家中に散布する際に役立ちます。

◯低温調理器→1000wタイプ。ライフラインの中でもガスの復旧は他よりも時間が掛かるため、入浴のために活用します。これを朝から浴槽に沈めて夕方、入浴のお湯にできます。

ご紹介したものは、日常使いできるものもあります。ローリングストックしながら、ご準備していただければと思います。

 

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中谷先生、インタビューのご協力ありがとうございました。

被災経験やこれまでの研究開発の内容と水害復旧とのつながりをとても興味深くお話を聞かせていただきました。先生が提案されている水害復旧の工程管理が各地に浸透し、それによって建築工事に当たる大工さんや工務店さんが関わるプロボノのネットワークが広がっていくよう、だいくまんプロジェクトも推進していきます。今後ともどうぞよろしくお願いします!

水害復旧に対する考え方と具体的な支援について〜中谷岳史助教授インタビュー①

梅雨や台風といった雨が増える夏を迎えようとしています。急な雨や大雨の対策として、大工村のだいくまんプロジェクトでは、自然災害に備えて近隣地域の社会福祉協議会様と協定を締結し、災害ボランティア活動のネットワークを広めています。

 

そこで。今回は災害ボランティア活動の勉強会をきっかけにご縁をいただいた、信州大学助教授中谷岳史様へインタビューしました!中谷様は、現在住宅の水害復旧支援のため実際に各地の被災地へ赴き、その経験内容を研究題材とし地域の工務店さんをはじめ災害ボランティアの方々へ情報提供を通じて指導をしてくださっています。

 

それでは、早速インタビューの内容をご紹介して行きます!

 

◯中谷岳史(なかやたかし)様

プロフィールはこちら>https://nakayatakashi.net/index.html

 

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Q.こんにちは!だいくまんプロジェクトの災害ボランティア活動の充実として、水害復旧についてのレクチャーや実践のご指導をいただきありがとうございます。

 

さて、中谷先生が水害に対しての研究や復旧支援をなさるようになったきかっけを教えていただけますか?

A.きっかけは2019年、東日本台風で中古住宅として購入した自宅が床上浸水し被災したことです。被災者となり家族と共に日常生活を取り戻していくわけですが、その時にこれまで仕事で培ってきたことが日の目を浴びることにつながったんです。

 

Q.具体的に、どんなことが日の目を浴びたのですか?

A.私は、もともと大手ハウスメーカーの研究員でした。そこでは住宅の大規模なクレームとして漏水相談も経験していました。そして、実際に自分が被災した水害では、研究の中の一つである工程管理が活かせることに気がついたんです。具体的には、水害は早い段階で建物の被害状況の情報収集が必要で、その後建築的な判断の上で、改修作業対応ができる工務店さんや大工さんへ引き継がれ、復旧へと進んでいきます。この流れに、いつどこで何にどれだけの人員が必要か、費用の把握と共にまとめられている「工程管理」の考え方が活かされました。水害復旧には多くの人が必要な一方で、対応できる人の数には限りがあります。そのため、被害状況の診断や応急処置も鑑みた「工程管理」が全ての方にとって有効なものだと思っています。

 

このきっかけから、マニュアルが無い水害に対して、被災した住宅を復旧させるまでの流れを可視化すること(工程管理)が、研究開発の題材となりました。その後、私にとってボランティアで現地へ赴く目的は「標準工程を開発してプロジェクトを解決すること」となり、約5年間で150件の事例に関わらせていただきました。そのうち、被災から数時間後から復旧となる時までの数年にわたってサポートさせていただいた建物は約10件。その皆さまのデータを貴重なものとして、今日まで活用させていただいています。

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中谷先生のインタビューは後編へと続きます。次回は、水害復旧の専門家の方から、今できる水害対策のアドバイスをご紹介したいと思います!お楽しみに。

水害の準備はできていますか?大工村に災害対策技術顧問が加わりました!

こんにちは

いつも大工村の発信をご覧いただきありがとうございます。

『こども達のキラキラした笑顔をつくる!!』でおなじみ、NPO法人大工村です。

 

NPO法人大工村サイトはこちら♪

http://www.npodaikumura.com/

 

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大工村の地元である磐田市豊岡。こちらでは、2022年と2023年の台風で、2度にわたって川の堤防が決壊し浸水被害が出ました。今年も梅雨から夏へと季節が変わり、台風が多くなることが予想されます。地元では、水害対策としては、行政を交えた協議会が立ち上げられ議論を重ねる一方で、私たちにできることは各家庭ごとで水害に備えることです。

 

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◯「静岡・磐田市 敷地川の水害防ぐための協議会  2年続けて堤防が決壊」

静岡朝日テレビ ニュース YouTubeチャンネルより

https://youtu.be/uwkS1FOtVtg?si=4H6ZVtIZbMOTbcvP

 

準備を始める際には、今一度当時の被害を思い出していただき、被害にあった事柄が同じような被害にならないよう手配できているか確かめてみてください。

 

もしご家庭だけで対処できない場合は、私たち大工村へお声がけください。特にご利用いただきたいのが、毎週木曜19時〜開催している「リブスクカフェ」。こちらは、豊岡地区の住民の方が参加しています。そこに集まる情報で、みなさんのお力になれたれたらと思っています。お気軽にお立ち寄りくださいね。

 

そして、だいくまんと共に防災プロジェクトを進めている大工村には、先日災害でも特に水害対策に詳しい有識者の方が技術顧問に加わりました。

 

◯大工村 技術顧問>信州大学助教授 中谷岳史様

中谷助教授のFacebookにて、技術顧問就任の内容が紹介されています。

https://www.facebook.com/photo?fbid=9806569409450793&set=a.214876665286830

 

中谷様プロフィールはこちら>https://nakayatakashi.net/index.html

 

こうした情報が磐田市豊岡の方を始め、近隣の方にも届くことから防災対策になればと思っています。どうぞ積極的に拡散していただけたら嬉しいです!よろしくお願いします。

 

水害対策の知識を学びました!〜災害ボランティア活動〜

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先日大工村の活動であるだいくまんプロジェクトでは、袋井市と磐田市に次いで新たに森町社会福祉協議会様と協定を結び、連携の輪を広げ続けています。地域連携のためのこうした活動も続けてまいります。

そして、実際の災害時ボランティア活動のために、正しい知識を習得しておくことも大切です!そこで知ったのが浸水被害に関する内容です。災害時には医療や建築以外にも衛生面の知識も重要です。特に水害では、水がカビにつながることから、そのしくみを正しく知って活動しなければいけません。そのために、カビに関して科学的に裏付けされた情報で学ぶことができれば、被災した方にも安心を提供できるのではないでしょうか。

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だいくまんプロジェクトでは、そうした目的のため国立大学の先生たちが連携して発表された「実体験から学ぶ!水害対策最前線」〜信州大学 中谷岳史先生〜を参考に理解を進めています。


困っている人を助けたいという想いを胸に集まるボランティアの多くの方にも、いろんな得意分野の方がいらっしゃいます。私たちだいくまんプロジェクトのメンバーは、小さなお子さんがいて住宅ローンの心配を抱えるような方に、信用していただけるようバランスよくスキルアップに努めていきます。

適切な処置ができるような学びと実践経験を踏まえ、信用の連鎖の中で心がつながるよう取り組んでまいります!

(参考)
住宅における水害対策マニュアル(※こちらの中で、「実体験から学ぶ!水害対策最前線」〜信州大学 中谷岳史先生〜が紹介されています)
https://842fm.com/wp_842fm/wp-content/uploads/2024/09/WEB%E9%80%95%EF%BD%A8_EBARA_manual_digest_0926.pdf

地域防災に取り組む大工村メンバーリレー紹介〜株式会社鎌倉工務店〜

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「地域の家づくりと地域防災への取り組み」として大工村メンバーへのインタビューを紹介する企画。だいくまんプロジェクトをより確実に地域に浸透させ、実践の際には強いつながりで連携する上で欠かせない大工村メンバーの地域防災への想いや具体的な活動をお聞きしました。

ぜひご一読ください。

 

【株式会社鎌倉工務店/鎌倉社長】にインタビューしました!

ホームページ https://www.kamakura-k.com/

 

Q. 鎌倉工務店さんが⽇頃から⾏っている「⾃助、公助、近助」となるような取り組みを教えてください。

A. 毎年OB様をご訪問し、お住まいやお客様ご自身の様子に変わりは無いかを確認しています。ちょっとした工事のご依頼から始まり、いざ、といういう時に声をかけてもらいやすい存在でいるためにも、ご訪問は続けていきたい活動です。

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その他、社内の取り組みとしては、従業員のためのヘルメット、水(ペットボトル500ml 24本2ケース)や食品を備蓄しています。他は、キャンプ用の浄水器や太陽光発電を搭載しています。当社は蓄電池の代わりに、リチウムイオンバッテリーを所有しています。こちらは充電して、コンセントを差して使うもの。日頃は電気が使えない状態の現場へ持ち込んでいます。

 

Q. ⾃社の家づくりについて。耐震性を⾼めるために⾏っている事は何ですか?

A. まず、家づくりそのものをシンプルな構造になるような形と考えて、プランを計画しています。その上で、構造計算では許容応力度計算を実施し耐震等級3を取得するのが当社の家づくりです。

 

快適な住まいをつくるためにも、家に居る時間が長い奥さんの家事動線が楽になることや、

省エネやメンテナンスに手間のかからないよう、それぞれの要素のバランスが保てる家づくりを心がけています。


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〜お客様へのメッセージ〜

当社は、OBさんのご紹介の仕事が多く、親子二代で建築を依頼していたくことがほとんどです。そうできているのも、これまでもOB様のご訪問を怠らず、何かあった時の対応をし続けてきたから今があると思っています。おかげさまで、管理顧客は200棟ほどです。今後もOB様を大切に、「ご近所限定工務店」として地域密着の家づくりに取り組んで参ります!

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