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山・木・大工の豆知識の記事

「ノリさん、教えて!」Q&A~どうして山の天気は変わりやすいんですか?~

ようこそ、大工村へ!村長のノリさんです。

大工村では、のイベントとして「きこり体験」を開催しています。
冬は木に水分が少ない季節なので、「切り旬」なんて呼ばれることもあるんです。寒くて急こう配、足元も凍って滑りやすい危険な山で、十分に安全を確保しながらきこりさんたちのお仕事を体験できます。
天気も変わりやすいですから、きこりさんの仕事って本当に大変なんですよ。
そこで今回は、山に関するQ&Aをお送りしたいと思います!

Q:どうして山の天気は変わりやすいんですか?

A:「標高」「地形」「湿度」が関係しています!

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「山の天気と女心は変わりやすい」なんて言ったりもしますが、確かに山の天気って予測できないですよね。
まず、標高の高い山ほど天気の変化が激しくなる傾向があります。高ければ高いほど、平地との温度差が大きくなり、上昇気流が発生しやすくなるからです。風は高気圧(温かいところ)から低気圧(寒いところ)へ流れていきますからね。なので「標高」にも関係があります。

海から流れてきた温かい空気は、山にぶつかって上昇していきます。冷えた空気は水分を気体の状態で保てなくなり液体=雨になってしまうのです。もっと冷えると、固体=雪やひょうになりますね。
空気に湿気が多いほど、降る雨雪の量は増えますから、「湿度」も関係していると言えます。

地形」は何に関係しているのかというと、風の流れる方向です。
人間の鼻のようにつるんとした勾配ではなく、山は複雑な地形の組み合わせ。平地から上がってきた風がどこへ行き、いつどこで雨を降らせるのかは、地形がカギを握っているんです。

いかがでしたか?山は美しく、壮大な眺望で魅せてくれますが、危険や不測の事態もつきもの。
けれど、そんな自然の偉大さを感じさせてくれる神聖な場所でもあります。
皆さんも山へお出かけの際は、十分な備えをご用意くださいね♪

どうやって大工さんになるの?~大工さんを育てる学校の話

ようこそ、大工村へ!
大工さんをより身近に感じてもらい、ぜひ大工さんと家づくりをするという選択肢を持っていただきたい!と情報発信をしている大工村ですが、「そもそも、大工さんってどうやってなるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、「大工さんが大工さんになるための学校」のお話をしたいと思います。

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富士宮市にあるその学校の名前は、「日本建築専門学校」。
日本の伝統建築に大きな影響を及ぼした文化である茶道や、WordやExcelといった情報処理にはじまり、設計の演習やCADの実習、構造力学の勉強など、大工さんになるための基礎から応用までをとことん学べる学校です。
文部科学大臣指定専修学校専門課程の認可を受けているので、他大学の大学院へ進学してさらに研究を深める人もいるそうですよ。

実は日本建築専門学校の生徒さんたちは、大工村が開催している「大工職人まつり」にも毎年参加してくれています。
礼儀正しく誠実で、「最後までやります」とお祭りの後片付けをお手伝いしてくれるような真面目な生徒さんたち。大工職人まつりの「鉋(かんな)の薄削り大会」で優勝したのも、日本建築専門学校のOBさんなんです。
まさに「心技体」がひとつになった、信頼できる職人さんを育てている学校なんですね。

たくさんの事を学び、いろいろな修行を経て、大工さんたちは今、皆さんの家を建てています。
大工村の大工さんたちも、腕に自信のある誇り高い立派な大工さんたちです!
大工村に遊びにきた際には、ぜひ大工さんと触れ合ってみてくださいね♪

日本建築専門学校 公式ホームページ>>http://www.nihonkenchiku.ac.jp/

「ノリさん、教えて!」Q&A~同じ種類の木でも産地によって何か違うんですか?~

ようこそ、大工村へ!
大工村では、木工の体験や木と触れ合えるイベントを通して、「」の性質温かみ心地よさをお伝えしています。
今回は、木に関する質問を村長のノリさんに答えてもらいます!

Q.同じ種類の木でも産地によって何か違うんですか?
A. 産地により、性質の違いがあります。
同じ種類の木でも、寒冷地で育ったものは太くなるスピードがゆっくりなので密度の濃い堅い木になり、逆に温暖地で育ったものは密度の薄い柔らかい木になる性質があります。

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気候条件や地形などによってより堅くなる・柔らかくなるなど、木の強さA品~D品とランク付けされますが、「堅い木」と「柔らかい木」に優劣の概念はありません
適材適所」という言葉があるように、家のどの場所にどういった木を用いるのかを考えることが木を使った家作り、つまり「木配り」です。
言い換えると家の全てに堅い木やA品を使用したからといって、最上級の家ができるわけではないんです。

実際はA品より低いランクの材木はお客様に選ばれにくく、売り手がB~D品を売ることができずに山の保全に支障をきたしています。(詳しくは9/20の投稿「山を守る人々」https://daikumura.com/blog/hitorigoto/2016/09/post-907.htmlをご覧ください)

地元の林業を守るためにも、木を適材適所で使った家づくりができること、ぜひ覚えておいてくださいね。

人に守られた森が、人を守る。意外と知らない山の生態系

ようこそ、大工村へ!
前回(https://daikumura.com/blog/hitorigoto/2016/09/post-907.html)にもお話した通り、山は山を守る人々によって森林整備され、健康を保っています。
彼らが山を健康な状態にしてくれているおかげで、私たちは家を建てることができ、災害時のリスクも低くなっているのです。
では、「守られていないはどうなってしまうのでしょうか?

整備をされていない山は、枝葉が生い茂りその中は暗く、一本一本の木はやせ細っています
そして山の景観が損なわれるだけではなく、適切な木の量を超えてしまうと、周辺に暮らす人々にも大きな被害をもたらすことがあるのです。

例えば、雨が降った際に土砂崩れが起きるメカニズムは、森林の整備と深く関わっています。枝打ちや間伐していない森では、木の根元の地面まで光が入らないため下草も生えず木の根も育ちません
こうしたところに大雨が降ると、地盤が弱いために土砂崩れが起きるわけです。

山は人に癒しを与えてくれますが、時に人に甚大な危害を加えます。
山を守る人々にきちんと整備された木々が、巡りめぐって私たちの家になっているんですね。
一期一会のこの巡り合いを、ぜひ大工村にお手伝いさせてください!

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~山を守る人々~豊かな山々に隠された何百年にもわたる営み

ようこそ、大工村へ!
豊かで青々とした山を見て、皆さんはどんな思いを浮かべますか?
人の手が加えられていない自然」の風景だと思ったのなら、ぜひこのつづきを読んでください。
今回は、を守る人々のお話です。

すべての「山」には、基本的に所有者がいます。
民有であったり国有であったりしますが、彼らが「山を守る人々」です。
昔からその多くは先祖代々山を受け継ぎ、時に木を売ってお金に換え、それを山に還元して何十年何百年と守ってきました。例えば、私たちにとって身近な富士山。山頂付近は、浅間神社の所有ということをご存知の方もいらっしゃると思います。

所有者たちは受け継いだ山を守るために、植林下刈り間伐など森林整備をし、山を健康に保っています。
間伐が行われず手入れのされていない山は木が過多に生え、それぞれの木の成長も悪く一本一本が細く弱くなります。
そんな状態の山に雨が降ると、地盤が水に耐えられず土砂崩れを起こしてしまうのです。
山を守る人々は、所有している山だけでなく、周辺に暮らす人々の安全も守っているんですね。
ですから私たちは彼らの仕事を邪魔しないよう、山に勝手に入ったりそこに生きているものを勝手に採ったりしてはいけないのです。

普段は何気なく眺めているその「山」にも、たくさんの人々の願いが込められています。
山へ出掛けた際には、山を守る人々のことを思い出してみてくださいね。

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